出前と母親の気持ち

出前というと、私は実家を思い出します。
出前がお袋の味、とまでは言いませんけど、母親があまり料理が得意ではなく、共働きで台所に立つ機会もあまりなかったので、けっこう出前をとっていたんですよね。
といっても今みたいに豪勢で手の込んだものじゃないです。
新聞広告として挟まってくる、「30品目使用!」とか、「栄養バランスが優れている」とか、「有名シェフが手がけた」とかではない、もうごくごく普通の、いわゆる「店屋物」ですよね。

一番良く利用したのは近所の中華料理屋さんですね。
中華とは名ばかりで、カレーとかとんかつとかもあるお店で、とにかく安くて早いので重宝してました。
母の帰りが遅くなって、食事を作る気力がなくて、そういう時に母が、「今日は出前とろうか」というのが、子供たちとしてはむしろ楽しみだったり(笑)。
失礼な話なんですけど、母は本当に料理がうまくないんです、というか、適当に味付けをさぼったり手間暇を惜しむから、微妙なんですよね、仕上がりが。
その点出前のものなら味が保証されているので、私もきょうだいも大好物だったんです。
「出前? やった!」みたいな。まあ、その分友達の、料理上手なお母さん、とかはうらやましかったですけどね。

大人になって1人暮らしをするようになってからは出前の機会はあまりなかったんですが、パートナーと住むようになってからは時々頼むようになりました。
一番利用するのは、やっぱり何故か中華料理屋ですね(笑)。
そしてちょっと和食っぽいメニューを置いてあるのも一緒で、中華丼とかと一緒に親子丼とかもあるんです。
あと、天津飯もあるけどオムライスもありますよ、という緩さが気に入っているんです。
出前を受付ているから、近所にお店はあるんです。
歩いても5分くらい。時々はお店にお昼を食べにいくこともあります。
でも、出前って別なんですよね。
もちろん味は変わらないはずなんですけど、「持ってきてもらったお店のものを、家で食べる」というところで、何かこう、特別なスパイスがかかっているんだと思います。
特別、とまでいうと大げさですけど、ほんのり贅沢、って感じがして好きなんです。

出前が助かるのは、やっぱり疲れている時や、面倒な時。うちの料理当番は交代制なんですが、どうしても仕事で疲れていたりする時には「出前OK」というルールがあるんです。
便利で美味しいから頼っちゃいますね、やっぱり。地元とは味も値段も違うはずなのに、食べながら感じるほっこり感は変わらない。
労ってもらった感じがする。
30代も半ばになって、当時の母親の気持ちがちょっと分かるような気もします。

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